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AliNovel > Oi, Hazure Sukiru da to Omowareteita “Chiito Koodo Soosa” ga Bakemono Sugiran da ga > 90 Hey, dont be convinced.

90 Hey, dont be convinced.

    「っと……?」


    ふと僕は自身を見下ろす。


    ――透けてきているな。


    ジャックとの戦闘前よりも、格段に身体の濃度が下がっている。


    そういえば、微妙に意識もぼんやりするな。うまく表現できないけれど、意識そのものが別次元に戻されそうな感覚である。


    「時間切れか……」


    本当はもっと近辺を探索してみたかったんだけどな。


    アルセウス救済党――すなわち国内屈指のテロ組織は、あろうことか王城に拠点を構えていた。


    組織の諸々を知るためにも、できれば潜入しておきたかったんだが。


    「ま、仕方ないか……」


    拠点を知れただけでも良しとしよう。国が総出をあげても見つからなかったようだからな。


    「アリオス……化け物め……」


    そう言いながら気を失うジャックを確認し、僕の意識はぷつりと途切れた。


    ★


    「……っと」


    そして再び覚醒したとき、僕は見覚えのある場所に佇んでいた。


    大物領主、ユーフェアス?アルド。


    その屋敷内だ。


    「アリオス!!」


    「わわっ!」


    ふいに抱きついてくるのは幼馴染みのお姫様――レイミラ?リィ?アルセウスだ。


    毎度のことながら、感触がやばすぎるんですが。


    「お、おい! 急になにを……!」


    「心配したの!! いきなりピクリとも動かなくなって……!」


    「ピクリとも……?」


    そうか。


    僕の意識が王城にあった間、肉体は置いてけぼりだったからな。


    ジャックは肉体にも意識があったようだけど、僕はさっき初めて思念体を飛ばしたばかり。


    いろいろと慣れとか必要なのかもしれないな。知らんけど。


    「おい、大丈夫さ。心配するな」


    「だ、だって……」


    そう言ってうるうるとした瞳で見上げてくるお姫様。


    可愛い……と言いかけたのを、すんでのところで我慢する。


    「はあ、本当にあの子は……」


    「むー……」


    諦観したように呟くカヤと、ちょっと寂しそうに親指を噛むエム。


    「イヤー、モテモテデスネ! アリオス様!!」


    そんな妙なテンションで突っかかってくるのは、僕の眷属たる古代平気――ウィーンだ。


    「モテル男ハ違ウネ! ヨッ、アルセウス一(いち)!」


    うっざ。


    僕は古代兵器の頭部っぽい箇所にチョップをかます。


    「スミマセン調子乗リマシタ二度トヤリマセン」


    「まあ、別にそんな怒ってないけどさ。……そんなことより、ジャックの思念体はどうした? いないみたいだが」


    「ジャックナラ消エマシタ。アリオス様ノ意識ガ飛バサレタノト同時二」


    「おまえは……」


    ふざけているようで、さすが抜け目ないな。


    僕の意識が飛んでいたことをしっかり把握している。


    このあたりは古代兵器のなせる技ってところかな。


    「ま、なにはともあれ、これで安心できるか……」


    ジャックは肉体と思念体とで意識を切り離せていたが、それでも僕との戦闘ではそこまでの余裕がなかったのかもな。


    「意識が飛ばされた……? アリオス、どういうこと……?」


    なおも抱きついたまま問いかけてくるレイに、僕は真顔で答える。


    「さっきまでジャックと戦ってたんだ。意識上で」


    「意識上で!?」


    「ついに剣も魔法も使わずに勝利するように!?」


    みんなから総ツッコミが入った。


    んー、どう説明すればいいのか。


    ちょっと難しいな。


    「……まあ、わかりやすく言えば、《原理破壊》のスキルでジャックのいる場所に転移したってことさ」


    「…………」


    お互いに目を見合わす一同。


    「いまの説明で理解できた……?」


    「いえ、全然……」


    「もはや人間を辞めてるね……」


    おい、好き放題言われてるんだが。


    僕だって王城に行けたのは一か八かの試しだったしね。


    本当に転移できるとは思わなかった。


    だからこそ説明が難しいってのもある。


    「こほん」


    僕は咳払いをかますと、話題を無理やり元に戻した。


    「ふざけてる場合じゃないんだ。ジャックは無事倒せたが……思いもよらないことが判明してね」


    そこで僕は、アルセウス救済党の拠点が王城であったことをみんなに告白した。


    そして、多くの人造人間(ホムンクルス)が存在していたこと。


    奴らの目的が、党名通りアルセウス王国の救済にあること。


    それらの事実を、僕は包み隠さず伝えた。ここにいるメンバーはみんな信用できるからね。


    「そう……王城に……」


    一番衝撃を受けていたのは、やはり王族たるレイミラだ。


    「レイファー兄様……本当に、なんてことを……」


    「本当にひどい連中です……!!」


    エムも憤懣(ふんまん)やるかたないといった様子だ。


    そりゃそうだよな。


    まだ全容はわかっていないけれど、エムは奴らのいう救済のために生み出されたのだから。


    「どうやら、思った以上に大きな事件になりそうね……」


    ため息混じりに呟いたカヤに、レイはやや気落ちしながらも明るい表情で言った。


    「でも大丈夫よ。たしかに闇の深そうな事件だけど……アリオスがいるもの」


    「ふふ、それもそうね」


    「圧倒的ナ安心感デスネ」


    おい、そこで納得するな。


    ――ともあれ、こんなところで長話はできない。


    かくして、僕たちはいったん撤収することにしたのだった。
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