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AliNovel > Oi, Hazure Sukiru da to Omowareteita “Chiito Koodo Soosa” ga Bakemono Sugiran da ga > 83 Hey, thats what I expected.

83 Hey, thats what I expected.

    「……ふむ」


    アルセウス救済党のひとりが、もうひとりに目配せする。


    「アリオス?マクバに、力を自在に操れるようになったエムか。……さすがに分が悪いな」


    「ああ。同感だ。こちらはアリオスひとりにさえ手が余るというのに」


    「……仕方あるまい。さっき入党したばかりの新人(??)を呼ぶとしようか」


    構成員は、懐から漆黒の宝石――もとい影石――を取り出す。


    なにかくる……!


    僕が構えたのも束の間、影石は漆黒の波動を放ち始める。そしてそれがおさまった頃には、新たな人物が姿を現していた。


    例によって、さっきまでこの人物の気配を感じなかった。影石の《転移能力》で呼び寄せたということか。


    「やはり……あんただったか……」


    そしてその人物に、僕は嫌というほど見覚えがあった。


    さっきダドリーが乱入してきた時点で、なんとなくそんな予感はしていたけれど。


    仮にも自分の父親が――テロ組織に身を置いているなんて、思いたくもなかったんだ。


    「……久々だな。アリオスよ」


    リオン?マクバ。


    僕の父にして、かつて剣聖と呼ばれていた男だ。


    「……ふ、その様子だと、私が入党していることを察していたようだな」


    「確証まではなかったけどね。……でも、可能性は高いと思っていた」


    レイファー第一王子に見切りをつけられ、リオンとダドリーは完全に道を失った。


    マクバ家の資産は莫大だ。


    王族との関係が切れたからといって、それだけで路頭に迷うことはない。


    だけど。


    あのリオン?マクバは、対面を必要以上に気にする男だ。


    だから、耐えられなかったんだろうな。世間からの冷たい目線に。


    王都から逃げて、世間からも逃げて……行き着く先は、テロ組織だったということか。


    言うまでもなく、剣の実力だけは世界最強クラス。アルセウス救済党にとっても、彼の入党は願ったり叶ったりだったんだろう。


    剣聖から一転してテロ組織の構成員。


    すさまじい転落っぷりだ。


    「あんた……ダドリーはどうした。ずっと一緒だったんじゃないのかよ」


    「ああ。あの恩知らずか」


    リオンは腕を組むなり、大きく息を吐いた。


    「あいつとは袂(たもと)を分かった。あろうことか、アルセウス救済党への入党を拒否したのでな」


    「拒否……」


    「ああ。外部に頼らずとも、自分の力だけで強くなりたいと言い出しおってな。……あいつも、おまえとの決闘を経て、だいぶ生意気になってしまったようだ」


    「……あんたは……」


    僕を追放し。


    それだけに飽きたらず、今度はダドリーまで追い出したか。


    あのダドリーに同情する気にはなれないが……このクズっぷり、変わってないな。とことん突き抜けている。


    「そういえば……アリオスよ。実家を抜けてから、おまえとはまともに戦ったことがなかったな」


    リオンはニヤリと笑うと、鞘から剣を抜く。


    その剣は――かつて剣聖が握っていたものとはまるで別物だった。


    黒と紅が禍々しく混ざり合った刀身、柄の部分には大きな眼球と思わしき物体がひとつ。しかも影石と同様、ほのかに漆黒の波動を放っている。


    「影石から授かった剣でな。その名も魔剣アングダス。使用者のステータス大幅アップと、闇属性の魔法がすべて使用できるようになる」


    「…………」


    漆黒の霊気に包まれ、明らかに闇の雰囲気を放つリオンに。


    僕はこみ上げるなにかを押し殺し、改めて戦闘の構えを取った。


    「さあ、かかってくるがいいアリオスよ! おまえを殺し、アルセウス救済党としての名をあげてやるわ!」


    「アリオス様! 私はあっちの構成員を相手します! ……どうか、どうかご武運を!」


    「ああ。互いに乗り越えよう……!」


    これは、ある意味で本当の縁切りか……


    僕は改めて元剣聖と対峙し、気合いを込めるのだった。
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