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AliNovel > Oi, Hazure Sukiru da to Omowareteita “Chiito Koodo Soosa” ga Bakemono Sugiran da ga > 39 Hey, youre just too happy.

39 Hey, youre just too happy.

    「うー、幸せ……。むにゃむにゃ……」


    くすぐり合戦と夕食を済ませた後、レイはぶっ倒れるように眠った。


    良い夢でも見てるんだろうな。


    寝言の通り、本当に幸せな表情だ。涎(よだれ)でも出てきそうな勢いである。


    「はは……」


    僕はレイに毛布をかけ直すと、寝室を後にする。


    まあ、色々と思うことがあってね。


    昨晩と同じく、すぐ眠る気にはなれなかったんだ。


    ちょっと、彼女(??)が気がかりだったから。


    「ふんふーん?」


    そんな彼女――メアリー?ローバルトは、鼻歌まじりに皿を洗っていた。エプロンをかけて台所に向かう様(さま)は、マクバ家のメイドとして仕えていた彼女そのままで。


    「あら、アリオス様……?」


    メアリーはふと僕に振り向くと、小首を傾げる。


    「どうされましたか? 今日はお疲れでしょう。もうお休みになってくださいな」


    「メアリー……」


    なんだか申し訳なくなって、僕は彼女の隣に並ぶ。


    「やっぱり手伝うよ。さすがに君ばっかりに家事を押しつけるのは良くない」


    そして皿に触れようとした僕の手を、メアリーは優しく制す。


    「いいんですよ。私は……こうしてるだけで幸せなんです。ダドリーに仕えているときより、ずっと……」


    「メアリー……」


    「アリオス様。そういえば、お伝えできていないことがありました」


    「え……」


    メアリーはハンカチで自身の両手を拭うと、改めて僕を真っ直ぐに見据えた。


    「アリオス様に《外れスキル》が授けられたあの日……私はなにもできませんでした。いままでお世話になっていたのに、どう声をかけたらいいかもわからず、ずっとなにも言えなくて……」


    「…………」


    「まわりがアリオス様をどう言おうと、私の心は常にあなたにあります。昔から優しく私を気にかけてくれた、頼もしい剣士様に」


    「メアリー……」


    そして両目から一筋の雫(しずく)を流すや、深々と頭を下げる。


    「……にも関わらず、マクバ家ではなにもできず、申し訳ありませんでした。それが……ずっと、気がかりで……」


    そんな。


    まさか。


    彼女は、ここまで僕のことを思っていてくれたのか……


    もう――なんの身分も持っていない僕を。


    たまらなくなった僕は、彼女の両肩をそっと寄せる。


    「メアリー。すまない。僕のほうこそ迷惑をかけた。これからは――みんなで幸せに過ごしていこう」


    「アリオス様……」


    メアリーの頬がピンクに染まる。


    「ふふ……夢のようですね。アリオス様に抱擁される日が来ようとは」


    そしてややためらいがちに続けて言った。


    「……その、レイミラ様とはすでに恋仲ですか?」


    「恋仲? いやいや、それはないさ」


    「そうですか。わかりました」


    ちょっとだけ嬉しそうなのは気のせいか。


    しばし抱き合った後、メアリーは


    「アリオス様。ありがとうございます」


    と笑顔で呟いた。


    「これで元気が出ました。これから一生懸命に仕えますので、よろしくお願いしますね?」


    そうはにかむ彼女は、やはり控えめに言って天使だった。


    ★


    一方その頃。


    アルセウス王国の王城にて。


    剣聖リオン?マクバは、ぎょっと目を見開いていた。


    「――アリオスが、アルセウス救済党のアジトを制圧したですって……?」


    「ふむ。その通りだ」


    そう頷くのは、レイファー?フォ?アルセウス。


    アルセウス王国の第一王子だ。


    レイファーは豪華な椅子にもたれかかるや、恐縮してひざまずいているリオンを見下ろす。


    「……アリオス殿の活躍により、一連の事件は大きく解決に進むだろう。まだ世間では彼を《外れスキル所持者》だと罵る者が多いが――まさに英雄らしき功績を残した」


    「し……しかし! 現場にはBランク冒険者も大勢いたのでしょう! 彼らの力もあるのでは!?」


    「そうだな。それもあるだろうが――私が言いたいのはそこではない」


    「え……」


    そこでレイファーは冷たい目をリオンに向ける。


    「おまえもわかっているだろう? ダドリー?クレイスの横暴なまでの所行を。そのような調子で――まさか誇り高きアルセウスの護衛を任せられるとでも?」


    「あ……ああああっ……」


    「それだけではない。――もしアリオス殿が英雄にふさわしい力を手に入れていたとなれば。彼を追放したおまえは、国にとって大きな損失をもたらしたことになる。場合によっては、今後のつき合い方を考えねばならないほどにね」


    「そ、そんなっ!! レイファー殿下……!」


    青ざめた表情で叫び出すリオン。


    「そうであれば、近いうちに証明してみせます! アリオスなどより、ダドリーのほうがよほど優れていることを!!」


    「ほう……?」


    「しばしお時間をください! レイファー様!」


    「いいだろう。私としても、代々続くマクバ家との関係は壊したくない。よろしく頼むよ」
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